うつ病は「心の風邪」と呼ばれるくらい精神疾患の中ではありふれていて治療法も確立している病気です。
しかしうつ病患者当事者の心の苦しみは「風邪」どころではなく、今は「肺炎」とか「骨折」に比喩される場合が多くなっています。
うつ病は「心の病気」ですが、実際は脳内物質が不足して起こる脳の病気です。そこまではわかっていますが、なぜ脳内物質が不足するのか、脳内物質がうつ病の症状とどこまでどう関わっているのかなど、詳しい事はまだはっきりとは解明されていません。
うつ病は脳の神経と神経の間の伝達物質「セロトニン」や「ノルアドレナリン」を減らさない、または増やす効果のある「抗うつ剤」を服用する事によって改善されます。投薬だけでなく、合わせて休養をとることがとても大切です。抗うつ剤の投薬と休養の相乗効果により、回復する事がわかっています。
うつ病はかつては「真面目で几帳面、責任感があり仕事の上でも有用な役割を果たしているような人がなりやすい」と言われていましたが、そういう傾向はあるものの、誰でもがかかる病気です。ある調査では16人に1人は生涯のうち一度はうつを経験する、というデータもあり、さらに年々増加傾向にあります。
うつ病は最近では30代の中堅層に増加傾向が見られ、また子供のうつ病なども増えているといわれています。高齢者の場合、認知症と間違えられるケースもあるので注意が必要です。
うつ病は患者本人にとっても辛い病気ですが、一番うつ病で危険なのは「自殺念慮」「希死念慮」が起こる事です。自殺を図る人の多くはうつ状態にあった可能性があります。
仮面うつ病は顔が仮面のようになるわけではなく、精神症状よりも頭痛、腹痛、腰痛、肩や首の痛み、吐き気など身体症状が前面に現われる事から「仮面うつ病」と呼ばれています。医療機関で検査を受けても「異常なし」と言われる場合が多いのですが、よく話を聞いたり、観察するとやはり精神症状も伴っている事が多くあります。
うつ病の回復には投薬と休養が必要ですが、なかなか休養がとれない、というケースが多くあります。本人の自覚と周囲の理解、協力が欠かせません。また、快適な気温・湿度・清潔な環境などもうつ病の回復に役に立ちます。
最近では「軽症うつ病」「プチうつ」「擬態うつ病」など普通の落ち込みと病気としての「うつ病」の区別が難しいケースも多くあります。ただし「軽症」だからと言って、本人の苦しみが軽いわけではありません。
うつ病では、「随分よくなった」という「回復期」に自殺するケースが多く、注意が必要です。
うつ病は病気としては、投薬と休養で3〜6ヶ月で回復する、とされる書籍、参考文献などが多いですが、実態は診断されていてもすぐには休めない、まだ回復期なのに無理に働いてしまう、周囲の理解や協力が得られない、などといった事から再発を繰り返し、実際の回復までに何年もの時間がかかる場合の方が多く、本人、家族とも負担が大きくなるケースがよくあります。
うつ病の治療には「抗うつ剤」の他「精神安定剤」「睡眠導入剤」などが合わせて処方される事が多いですが、その依存度はアルコールよりもはるかに低く、依存性を恐れる必要はほとんどありません。むしろアルコールに逃避することによるアルコール依存症は死につながる非常に危険な状態なので、アルコールに頼る事はやめなければなりません。
上にあげた薬の他に医師や症状によっては「メジャートランキライザー」と呼ばれる「抗精神薬」が処方される事もあります。レボトミン、リスパダールなどがよく使われるようです。
一般には「三環系抗うつ剤」「四環形抗うつ剤」その他の抗うつ剤があります。「その他」の範疇に入るものとしてはドグマチールのように、元々は胃潰瘍の薬として開発・研究されてきましたが、うつ病にも効果があるとわかって抗うつ剤に使われるようになったもの、アモキサンのように、あまりどの範疇にも入らないものなどがあります。また、最近では新薬としてSSRIやSNRIといった薬も出てきました。
脳内の伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンなど、モノアミンと総称される物質が減少することが原因である、という「モノアミン仮説」に基づいてモノアミンの再取り込みを阻害する目的で使われます。
今までの抗うつ剤と違い、副作用が少ない、などの利点があげられてきましたが、日本で認可され、広く使われるようになったパキシルなどでも、場合によっては問題のある副作用が起こると懸念されていたりもします。
一般的には、古くから使われているトフラニール、アナフラニールは作用が広範囲にわたり、効き目が強い代わりに副作用も強い、とされ、それ以降の抗うつ剤の開発は「いかにピンポイントに効いて副作用を減らすか」に置かれてきました。
とはいっても、私の場合、SSRIのパキシルは副作用で合わず、すぐに中止になりましたし、トフラニールを飲んでいますが、これといった強い副作用はありません。
いたずらに薬の知識を求めるのは本末転倒になりがちですから、主治医の指示に従う事が大切だと思います。医師に不安がある時には「セカンド・オピニオン」として別の医師の意見も聞く事もいいと思います。ただしどうしても合わない、という場合もあります。主治医を変わる、転院する場合は「診断書」「飲んでいた薬の履歴」(薬局で『お薬手帳』を作っておくといいと思います。)を持参した方が、それまでの治療履歴がわかりますので、一貫した治療を受けやすいと思います。
うつ病の知識を得るのにいいと思っていた無料冊子が配布をとりやめられていて、ご紹介できませんが、ファイザー製薬の「こころのひまわり」というサイトが、かなりまとまっているようです。2年ほど前にはそんなに充実していなかったので、あまり見ていませんでした。他のサイトも見てみましたが、こころのひまわりが一番わかりやすいし詳しいかと思います。
また、「Dr.林のこころと脳の相談室」はとても充実したサイトです。
ただし、このようないいサイトであっても「では、具体的にどう声をかけたらいいのか」という肝心なところがつかめません。また家族の心の拠りどころとしても、サイトを見るだけなので(Dr.林のサイトにはメール相談がありますが、直接の回答はありません。)物足りないものを感じます。
本当にどう声をかけていいかわからない、どう対応していいかわからない、他の家族の方はどうしておられるのか聞きたい、カウンセラーさんに直接メール相談をしたい、という方がありましたら、
うつ病の家族への対応マニュアルは本当にいいものなので、ご検討いただけたら、と思います。声のかけ方を音声ファイルで同時に聞けますし、「おまけ」の音声は、疲れたうつ病家族の、心を癒す、心のサプリメントのようだと思います。
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